イネの品種改良で「マズい遺伝子」を取り除く

愛知県と独立行政法人農業生物資源研究所などは20日、いもち病に強く、コシヒカリ並みに「うまい」米が実るイネの新品種「中部125号」を開発したと発表した。病気への抵抗性が高い遺伝子と食味を損なう遺伝子を特定し、両方の性質を持った品種とコシヒカリを掛け合わせ、「まずい」遺伝子を持たない個体だけを栽培して品種化した。「世界初の成果」といい、米国の科学雑誌「サイエンス」21日号で公開する。 (中略)

 今回は、日本を含む国際研究チームが解明したイネの遺伝子情報を参考に、遺伝子に目印をつける「DNAマーカー」という手法を用いて交配を繰り返し、どこにどのような性質をつかさどる遺伝子があるかを正確に突き止めた。

 この結果、いもち病に抵抗性のある遺伝子と、食味を損なう遺伝子が非常に近い位置にあることが判明。陸稲を用いた従来の品種改良では、両方の遺伝子が同時に取り込まれるため、食味が悪くなることも分かった。

 陸稲コシヒカリ系の種を何代も交配させ、さらにコシヒカリとかけ合わせた結果、6千株のうち3株が、病気の抵抗性遺伝子を持ちながら食味を損なう遺伝子を含まない個体だと特定できた。この個体を栽培して性質が変わらないことを確認し、新品種となった。コシヒカリ系の種と何度も配合しているため、食味はコシヒカリとほとんど変わらないという。

オリジナル論文→Loss of Function of a Proline-Containing Protein Confers Durable Disease Resistance in Rice. Fukuoka S et al. Science. 21 August 2009:Vol. 325. no. 5943, pp. 998 - 1001.
この記事を基に、いもち病抵抗性遺伝子座と食味を損なう遺伝子座の遺伝距離を求めよ。って問題が作れそうだなw 味がコシヒカリとほとんど変わらないなら、うまいマーケティングができたら人気があって疫病にも強い21世紀のブランド米の誕生が見られるかも。