やりすぎの自省


 政府の新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員長を務める尾身茂・自治医科大教授は23日、日本記者クラブ(東京都千代田区)で記者会見し、国のこれまでの対策について「死亡・重症者数を少なくでき、成功だった」と総括した。(中略)

 国内の新型インフルによる死亡者は約200人。世界保健機関(WHO)の昨年11月時点のデータでは、日本は米英など他の先進諸国に比べ、死亡率は10分の1以下となっている。

 尾身教授は「個人的見解」としつつも、「最大の目標である重症化、死亡の防止は達成した」と評価。主な要因として、広範囲な学校閉鎖で地域への感染拡大が抑制されたと分析した。批判の多い空港検疫などの水際作戦については「やり過ぎだったとは思うが、あの当時、検疫強化を全くやらないことに国民は納得しただろうか」と疑問を呈した。

2009年のGW直前に始まった新型インフル騒動からほぼ1年、対策委員長を務めた教授の総括が発表されました。日本で200人も死者が出ていたとは知りませんでした。が、これでも他の先進国に比べて1/10以下の死亡率とのことで、「最大の目標である重症化、死亡の防止は達成した」という自己評価は正しいと思います。
ただ社会的影響については、どうでしょうか。国内最初の新型インフルか?! と疑われた私立学校では疑いが晴れた会見で校長が泣き出すほどの中傷があったのは、紛れもない事実です。他にも沢山の中傷被害がありました。本当の国内第1感染者が何処なのか不明ですが、真面目に公表した神戸市は、国から「不急不要の外出は避けるよう」と言われた結果1週間もゴーストタウン状態に。飲食店をはじめとする店舗は大打撃、全校休校になって保護者は会社に行けず、修学旅行で来る予定だった学生らは泣く泣くキャンセル・・・ ほんと、今から振り返れば、あの騒動はなんだったのか?! と思わずにはいられません。
空港での防護服での検疫、あれは国内感染者が出るまでの間は「国として最大限できる努力はしてまっせ」というパフォーマンスでしょう。尾身教授がコメントされたように、検疫強化をやらなかったら日本国民はパニックになってたと思います。アレにいくらお金をつぎこんだのかは別にして。