わさびのかほり


 昨年4月、“世間の意表を突く”新しいタイプの火災報知器が発売された。火災が起きたことを、「わさびのにおい」を発生させて知らせる「臭気発生装置」というものである。開発・発売したのは、独自の香りビジネスを展開するバイオベンチャーのシームス(本社東京・千代田区)だ。

 大手メーカー製の市販の住宅用火災警報器住警器)と組み合わせて、親機である火災報知器が作動すると同時に、子機である臭気発生装置が信号を受け取り、わさびのにおい成分を室内に拡散させる仕組みだ。主な販売ターゲットは聴覚障害者。加齢によって聴力が衰えた高齢者も含めて、一般の「警報音」が聞こえない、聞こえにくい人は国内に約600万人いると推定されている。そうした人たちのために、音だけでなく、光や振動で知らせる火災報知器はそれ以前からあったが、においによる火災報知器が商品化されたのはこれが初めて。視覚、聴覚に代わる、いわば「第三の感覚」である嗅覚に着目した画期的な新製品なのである。(中略)
 
 発売前に滋賀医科大学臨床試験を行ったところ、健常者と聴覚障害者合わせて約50人の被験者のほぼ全員が就寝中でもわさびのにおいを嗅いでから1〜2分で気づき、しかも「深いレム睡眠の状態でも自然に目が覚め、起きてからも冷静に行動できるという結果を得た」と漆畑直樹社長は説明する。

メモ。わさびの匂いにそんな効果があるとは全然知りませんでした。特許は確保済みなんでしょうが、目覚まし時計や運転手用目覚ましグッズもぜひ開発してほしいです。