犬は長い友達

Genetics: Pet project. Cyranoski D. Nature. 25 August 2010;466:1036-1038.
血統書つきのイヌを使って、ヒトの病気に関連した遺伝子を研究している記事です。「スピッツはきゃんきゃん吼える」など、イヌも品種によって性格が違いますが、品種改良によってその特徴が如実に現れるそうです。だから、ヒトだと何千人、何万人ものサンプルを集める必要がある場合でも、純血種のイヌを用いれば200匹で済むかもしれません。
もちろん、イヌの遺伝子とヒトの遺伝子が100%対応しているわけではないので、そんなにシンプルには研究は進みません。ドーベルマンナルコレプシーを発症する品種で、その原因遺伝子がオレキシン受容体2だと判明しています。ヒトでは同じ遺伝子はありませんが、ヒトのオレキシン代謝経路を調べたところ、ナルコレプシーに関連した突然変異が見つかったそうです。似たような研究が進めば、ヒトの特効薬ができるのと同時に、イヌの品種に特有な症状も治せるかもしれません。