プライバシー保護は世界共通の流れ

Save your census. Fienberg SE and Prewitt K. Nature. 25 August 2010;466:1043.
日本各地で発覚している非実在老人の原因の一つが、国勢調査の機能不全だと言われています。対面調査が機能してない、プライバシー保護の観点が広がって回答率が落ちてる、戸籍と国勢調査の結果がリンクしていない、などなど、様々な指摘がなされていますが、日本だけではなく、人口調査を行っている国共通の悩みだそうです。
アメリカの場合は調査票を郵送しているそうですが、人口増加と英語以外の言語の台頭で、1990年から4倍の費用が必要だとか。回答率も下がっていて、例えば家賃の項目をスキップする人は1990年では3.3%だったのが、2000年では15.6%に急増しています。北欧の国では人口調査自体を廃止して、納税記録などの他の記録で賄おうとしているようです。しかし申告ベースの記録は漏れがあったり、古すぎて実態を反映してなかったりします。さらにEU内の移動が自由なことを加味してないドイツのシステムは機能不全だとか。
個人的には、対面の国勢調査自体が時代遅れだと思うんですよね。まず調査員が来る時間帯は家にいないし。個人情報が裏市場で売買されるようになった現代社会では、プライベートなことを根掘り葉掘り聞かれることに対し本能的な不信感を抱くようになってますし。さらに、戸籍・住民票・免許証・健康保険・年金と、同じような情報を繰り返し聞かれ申請することにウンザリしてます。IT社会なんだから統合して手間を省けるだろうに・・・あ、それが国民総背番号制か。
それでも、国勢調査の結果から行政方針が決定されるんですから、国勢調査が不必要だとは思いません。子どもが多いところに学校を、老人が多いところに老人福祉施設を、それぞれ過不足なく建設してもらわないといけませんから、人口統計家と官僚は良い代替案を考えてください。