「適正価格」は死語?

企業と個人とカネと転職|転職徒然草
報酬が多いことをウリにしているA社に、「この世はカネ」と言い切るTさんが乗り込んだ。その結末は?

先週の途方もない要望に続いて、転職徒然草ネタ。「カネ第一主義」という金銭感覚にすら相違があるのは面白いです。しかし今の日本は、このAさんの言う「この世はカネ」じゃなくて「少しでも得する」とか「損はしたくない」という強迫観念に振り回されているようにも見受けられます。
一例ですが、上海へ片道4000円チケット連日完売?というニュースを見て「安いっ!」と思い、その後に「こんなに安いということは、何か裏があるんだろう」 と考えるんじゃないでしょうか。なぜなら、自分で旅行などの手配をしたことがある人なら、4000円で行ける範囲という感覚を持ってるからです。試しにちらっと検索したところ、茨城空港の最寄り駅・石岡駅から鉄道で片道4000円で行けるところは、静岡県富士川駅あたりでした。バスなら東京〜大阪間の格安夜行バスが4000円前後でしょうか。茨城空港から上海まで飛行機で4000円というのは、どう考えても安すぎます*1
こういう破格値を一度見た人は、通常の成田〜上海便のチケット価格を「普通だね(でも、もっと安いの知ってるし・・・)」と感覚がズレて、そのうち通常価格で買うと損した気分になる人も出てくるでしょう。こうやって感覚がズレた人が「10万円そこそこの年収差」で、やりたかった仕事を諦めるんじゃないでしょうか。想像で物を書いてますが。親から言われた「安物買いの銭失い」や「安かろう悪かろう」という価値観は、「物事には適正価格がある」という世の理に関する忠告だと思ってるんですが、現代の日本人の「損をしたくない」という感情の前には無力なのかもしれません。次世代の日本語からは消えてしまうかも。

*1:昔は安い航空券を見たら「あそこの航空会社は事故保険がチャチだから乗るな」とか「中古の機体ばっかでメンテが怪しいから避けたほうがいい」とか、旅行好きな人からアドバイスを受けました