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Research integrity: Sabotage! : Nature News
アメリカの大学ポスドクが、同じラボの院生の実験を妨害していたという記事です。読んでて気分が重くなりました・・・ このケースは明白な証拠があって裁判で決着がつきましたが、ほとんどの妨害は闇で行われ、明確に調査されることのないまま、闇に葬り去られます。ちょっとした嫌がらせぐらいだったら、誰でも経験したり耳にしたことがあるんじゃないでしょうか。この記事のコメント欄が賑わっているのは、研究者の誰もが「妨害はある」という前提を受け入れた上で、色んな側面から意見を書いているからでしょう。曰く、元々ライバルなのにラボスペースを共有するのは云々、このケースで調査が進んだのは被害者が白人女性で加害者がインドからの留学生だったから、ラボに欧米以外からの留学生を受け入れる是非について・・・ うんざりします。
折りしもFrancis Collins 博士がNatureに「若手科学者がもっと早く独立できるように」という記事を寄せてます。独立資金を手にする研究者の平均年齢は、1981年で36歳だったのに、2009年には42歳だそうです。ph.Dをゲットしてから複数のポスドクを渡り歩き、院卒から10年以上経たないと独立資金に通らない。さらにテニュアポジションともなると、気が遠くなります。こんなプレッシャーに延々と晒されるのは、若手研究者にとって良いはずはなく、科学界全体にとってもプラスにはならないんじゃないでしょうか。だからといって他人の研究の妨害をしていいことにはならないけれど。