20世紀型マスコミの終わりのはじまり


 尖閣諸島沖の中国漁船衝突を巡る映像流出事件で、神戸海上保安部所属の巡視艇「うらなみ」主任航海士だった海上保安官(43)が警視庁と東京地検の調べに対し、映像を動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿するより前に、映像を記録した外部記憶媒体のSDカードを米ニュース専門局「CNN」の東京支局(東京都港区)に郵送した、と供述していることが捜査関係者の話で分かった。

 海上保安官は「CNNが映像を放送しなかったため、投稿を決意した」とも供述。捜査当局は、海上保安官が、強い意志を持って映像を公開しようとしていたことを示す事実とみて、裏付けを進めている。(中略)
 CNN東京支局の広報担当者は取材に対し、「この件に関しては一切、ノーコメント」としている。

尖閣諸島における巡視艇衝突映像のYouTube流出は、マスコミへのリークの後だったことが判明しました。YouTubeの画像が日本中のTVに流れている時に、ニュース番組のコメンテーターが「マスコミに送ってくれたら内部告発者のプライバシーは守れる」などと口にしてましたが、何てことはない、お宝動画はマスコミの中で闇に葬りさられていただけです。
マスコミの報道は、ウェブの情報スピードについていけなくなっています。今週火曜に勃発した北朝鮮の砲撃事件でも、NHKが臨時ニュースを出す前にTwitter経由でustream動画を見ていました。TVの報道は、ネット情報の後追い部分*1が多かったですね。ウェブ上の情報は、確かに真偽確認が難しいのは事実ですが、マスコミ初動の前の情報キャッチ・マスコミが報道しなかった情報の受け皿としては実に効率的に機能していると思います。21世紀の情報社会に、既存マスコミはどう対応していくのか。

   呼びかけ主は、朝日新聞名古屋本社で調査報道班に属しているという神田大介記者だ。岡崎市立中央図書館ホームページへの大量アクセス事件で、図書館ソフトの不具合ぶりを調査報道して、知られるようになった。
  神田記者は、マスコミ、とくに朝日が尖閣ビデオをスクープできなかったのが悔しいらしい。自ら開設のツイッターで2010年11月5日、「この映像を自分が、というか新聞社が入手することはできなかったのかなあ」とツイート(つぶやき)。これをきっかけに、マスコミ利用のメリットを説いていった。(中略)

   情報のネット先行に危機感を持っているのは、テレビ局も同じようだ。

   芸能関係者によると、ある民放キー局ワイドショーのスタッフは、尖閣ビデオのユーチューブ投稿に大ショックを受けたことを明かしたという。

「いやー、参りました。こんな時代が来たんですね。映像がわれわれのところに持ち込まれないなんて…」(中略)

   毎日新聞与良正男論説副委員長は、2010年11月11日付コラムで、自虐的にこう漏らす。テレビ局は、ビデオを入手しても、映像は本物か、守秘義務違反の可能性があるビデオ放映は妥当か、日中関係はどうなるのか、とためらったと思うと。新聞社についても、「各社のホームページにビデオそのものを即座にアップしたかどうか。国民の知る権利を優先するか否かで、やはり大議論になったろう」と明かしている。

   つまり、既存メディアならビデオを出せなくなる可能性を認めたわけだ。

*1:日本の総理大臣は、マスコミ報道から情報収集していたようですがw