痛み止めでガン予防


 1日に75ミリ・グラム程度のアスピリンを5年以上服用すると、がんで死亡する確率が大幅に低下する――。こんな研究結果が、7日付の英医学誌ランセット電子版に掲載された。

 英オックスフォード大のチームが、循環器などに疾患がある患者約2万5500人を、最長20年間にわたり追跡調査したデータを解析。アスピリンを長期服用した人と服用しなかった人の、がんによる死亡率を比較した。その結果、アスピリンを5年以上服用した人の、がんによる死亡率は、服用しなかった人に比べて21%低かった。特に消化器系がんでの死亡率は54%も低く、アスピリンのがん予防効果は高いと結論づけた。服用量の75ミリ・グラムは、市販薬1錠に含まれるアスピリン約250ミリ・グラムに比べ少ない。

オリジナル論文→Long-term effect of aspirin on colorectal cancer incidence and mortality: 20-year follow-up of five randomised trials. Rothwell PM, et al. Lancet. 2010 Nov 20;376(9754):1741-50. Epub 2010 Oct 21.
通常用量のアスピリン(500mg/日)を長期服用すると、結腸ガンにかかる可能性が低くなることは知られていたようです。ただし、この量だと副作用も起こりうるので、この論文では低用量(75〜300mg/日)の効果を調べています。その結果、75mg/日のアスピリンを飲み続けていると、20年後の結腸ガン・直腸ガンなどの発病リスクが大幅低下したそうです。面白いのは、飲む量を75mgが300mgでも、リスク低下に大きな違いはなかったことです。遠からぬ将来に「低用量バファリン」がドラッグストアに並びそう。それに銭湯には「ガン予防にケロリン」って底に書いてある洗面器が増えたり?!
それにしても、アスピリンが本当に結腸ガンのリスクを20%も下げるんだったら、アスピリン大国・アメリカでは結腸ガンが少ないのか?と素朴な疑問を抱きました。誰か調べてくんないかな。