予算が増えても支給されなければ絵に描いたもち


【特別無料公開】若手期待の最先端・次世代研究開発支援プログラム、採択者の年度内決定に暗雲、和田政務官が申請書の追加提出を示唆

 読者からのご意見は、「日本の科学研究の推進に必要な研究費の審査システムがたった一人の代議士のために崩れてしまう可能性を示唆している重要なニュースなので、広く配信して欲しい」というものです。

 記事から推測するに、和田政務官の考えは、「採択を、専門家の判断のみに委ねるのではなく、国民の意見を広く聞いて判断すべき」というものなのでしょうか。ただ、一方で長期間その分野に関わっていく専門家に比べて、国民の意見は刹那的で、無責任なものとなりかねません。また、応募段階で示されていた審査手順が後から変更されるのもどうかと思います。何よりも、こうした手順の見直しばかりで、予算執行がずるずると遅延していくことに危機感を感じます。

2010年末までに採択者が決定される予定で募集され、JSTの審査も予定通り済んでいたところに、2010年9月に関係ポジションに就任した和田議員がストップをかけたとのことです。2011年1月13日の記者会見「一般国民が読んで研究内容が分かるような書類の提出を、5600人すべての応募者に要請しようと考えている」と発言していて、これはもう今年度中の採択・研究費の振込みは絶望的でしょう。2009年度分で科研費の若手Sが廃止されている上に、この無茶っぷり・・・基礎研究の分野で頑張っている若手の皆さんには心からお見舞い申し上げます。
菅総理2011年度予算案の科研費増額を「思い切って増やした」とご満悦のようですが、この現状をご存知なんでしょうか。支給額が増えることも重要ですが、予定通りに支給されない研究費は若手研究員の息の根を止めかねません。