よくぞ言ってくれた


「膿を出しつくすべきだ」
「徹底的に体質を改善すべきだ」
「すべてを明らかにすべきだ」
 といった調子で、べきべき言っているテレビの中のあの人たちは、相撲ファンではない。彼等の当面の狙いは、自分が曲がったことの大嫌いな人間である旨をアピールするところにある。別に、相撲をどうにかしたいわけではない。彼等は、八百長が介在しているような汚らわしい競技は、この国から消滅してしまっても差し支えないと考えている。というよりも、ガチだろうがヤオだろうが、そもそも大相撲にさしたる愛情を持っていないのだ。

 相撲ファンの立場は違う。
 われわれは、なにより相撲の存続を願い、その消滅を懸念している。
 無論、きれいになってほしいとは思っている。
 でも、きれいになった結果消えてしまうようなら、当面は、多少病根が残っても、とにかく生き残ってほしいと、そんなふうに願っている。それがファンの考え方だ。
 一匹でもゴキブリのいる飲食店をすべて閉店に追い込んだら、オレらはメシが食えなくなる。町には、消毒くさいスカした高級店しか残らない。それでオッケーな人はかまわないのだろうが、オレはイヤだ。誰が3000円のサラダなんか食べる? 野菜ソムリエじゃあるまいし。

先月末からの八百長問題、いや、もっと前のドルジ叩きの頃から感じていた違和感を、よくぞ書いてくださいました。マスコミは絶好のバッシング材料を見つけたぞ!といわんばかりに、あることないこと伝えまくるし、それを聞いた一般市民(≒相撲をよく知らない人たち)は鵜呑みにして「相撲とはけしからんものだな。この際なくしてしまえ」としたり顔で話すし。相撲をこよなく愛するファンとしては、その両方に心を痛めてます。
相撲がなくなってもいい、興味がない、というのであれば、せめて相撲ファンがひそやかに楽しめる余地ぐらいは残していただきたい。別にNHK総合とBS2(+ラジオ)で中継しなくてもいいから、どっか1局で幕下から淡々と流してくれればいいから。華やかな広告も、世間の耳目も、高い資料率もいらないから「あ、あの盛り髪ママさん今場所も皆勤賞だな」とか、いつもどおりの大相撲を楽しませてほしい。