自衛隊が国民に感謝されるとき


がれきが散乱する陸前高田市では現在、迷彩服にOD(オリーブドラブ)色のヘルメット姿の自衛隊員数十人が、今回の地震津波による犠牲者の捜索にあ たっている。沖合では自衛隊のヘリコプターが空から海上の遺体捜索を行う一方、付近の各避難所では、自衛隊員が給水活動や、被災者の衣服の洗濯まで行っている。(中略)
 こうした活動は、24万人の自衛隊員のうち約10万6000人が救援活動に従事する戦後最大規模の自衛隊任務の一環だ。

 政府筋は、自衛隊員を災害救援活動にあたらせることがそもそも妥当かどうかについて議論してきた。救援活動で隊員を手いっぱいにさせることは、潜在的に国を無防備状態にするおそれや、国防に必要な資源を使い果たしてしまうおそれがあるためだ。

 自衛隊はこれまで、日本が災害に見舞われるたびに存在感を高めてきた。1995年の阪神・淡路大震災の後、政府は、災害時に自衛隊がより迅速に出動できるよう、自衛隊を補強する措置をとり、自衛隊の信頼性を高めた。(中略)
 少なくともこれまでのところ、津波の被害を受けた地域では、自衛隊への支持が高まりつつあるようだ。

 陸前高田市の高校生、タカハシ・ユウマさん(17)は、何人かの友人が自衛隊入隊を考えていると語る。タカハシさんは、「これまで、自衛隊は戦争のためだけにあると思っていたが、いまでは、自衛隊員は国民を助けるためにいるのだと分かった」と話している。

日本は憲法で軍隊を放棄をしているから、自衛隊は違法。子どもの頃はそう思っていた時もありました。しかし、阪神淡路大震災や宮崎県の狂牛病騒ぎ、そして各地を襲った台風・豪雪被害の現場で一番活躍したのは、間違いなく自衛隊です。そして今回の大震災と原発事故現場でも、まともに動ける希少な集団でもあります。自衛隊、ありがとう。素直に感謝する反面、50年以上前の首相が述べた「国民が困窮し国家が混乱に直面しているとき」が来たんだなぁと思うと、複雑な気分です。

それは、吉田茂・元首相が、昭和32年に、防衛大学の第一期卒業生達に向けて送った、この言葉を覚えていたからでした。

君たちは自衛隊在職中、決して国民から感謝されたり歓迎されることなく、自衛隊を終わるかもしれない。きっと非難とか誹謗ばかりの一生かもしれない。ご苦労なことだと思う。

しかし、自衛隊が国民から感謝され、ちやほやされる事態とは、外国から攻撃されて国家存亡のときとか、災害派遣の時など、国民が困窮し国家が混乱に直面しているときだけなのだ。言葉をかえれば、君たちが日陰者であるときの方が、国民や日本は幸せなのだ。

耐えてもらいたい。
自衛隊の将来は君たちの肩にかかっている。
しっかり頼むよ。